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RO浄水器機+DIフィルターの設置を頂いております八潮市のS様が約1年程ご使用のDIフィルターの測定を行いました。
交換時のTDSメーター値は1ppmでした。

セシウム総量で9.8Bq/gkでした。

DIyashio317-16h


以前にも1~2ppm程度で交換したDIフィルターを何度か測定しましたがほとんどが定量下限値未満(1Bq/kg)であった事から、この数値は想定外でした。

横浜の水道水検査


K-40が60Bq/kg以上ある事から塩素濃度が高い事が予想されます。
以前、こちらの記事にも書きましたが、雑菌や大腸菌などを殺菌消毒する為に浄水場では塩素を2回投入します。
水道法では1リットルあたり0.1mg以上の塩素が残るよう定められています。ただ、この基準は『浄水場から1番遠い家で最低0.1mg』と言う条件ですので浄水場に近い家では塩素濃度が1mg/Lになるケースもあり、これはプールの塩素濃度より高い値です。
塩素にセシウムが吸着して濃度が高くなった事も考えられますが断定は出来ません。
K-40によるコンプトン散乱の影響を打ち消す為に、同程度のK-40が含まれるBGと比較してみました。

DIyashio317-16hK40bg

コンプトン散乱の影響を打ち消したこちらのほうが真の値に近いと思います。


セシウム、ストロンチウム、ウラン系、ヨウ素などの放射性物質を除去出来るのはRO(逆浸透)方式の浄水器だけですがその心臓部分であるメンブレンフィルターは米国製ダウケミカル社Filmtecブランドの99%除去タイプです。
その除去出来なかった1%をDI(イオン交換樹脂)フィルターで吸着して、その中身のイオン交換樹脂を測定した数値が今回の値です。


RO(逆浸透)方式の浄水器だけでは現状の汚染に対して十分とは言えません。
東北、関東などでもDIフィルターのオプションを選択される事をお奨め致します。


0PPM-RO浄水システム

ご質問等がございましたらお気軽にお問い合わせ下さい。

電話でのお問い合わせもお気軽に!

☎03-5629-6977
| 17:26 | 未分類

出来るだけ安全な水を提供出来るように2011年秋からRO浄水器の販売をさせて頂いております。
さまざまなタイプの浄水器がありますが放射性物質を除去出来るのはRO(逆浸透)方式だけです。
放射性核種のセシウム、ストロンチウムは約0.0006ミクロン、ウラン約0.0005ミクロンでRO(逆浸透)はハイテク技術により、細菌や不純物も通さない0.0001ミクロン~0.0002ミクロンの小さい孔があいていますので理論的にも除去出来ます。
浄水器の心臓部分であるメンブレンフィルターは定評がある米国製のFlilmtecブランド99%除去タイプを採用しています。
しかしそれでも完璧ではありません。
そこでRO(逆浸透)で除去しきれなかった物質を更に吸着力で定評があるイオン交換樹脂フィルター(米国製、OMNIPURE社)をRO(逆浸透)で除去した後の水に最後に通す事により更に不純物を除去してより安全なシステムを考えTDSメーターの数値でRO水6PPM→から0PPMを達成しました。

0PPM-RO浄水システム

先週に自宅のDI(イオン交換樹脂)フィルターを交換したので測定してみました。
交換時のTDSメーター値は4ppmでした。

DI-katushika316-16h
*16時間の測定を行いましたがCs-134は検出されず、Cs-137/1.5Bq/kgでした。

この数値は予想外でした。
去年の年末にこの近所で2件のDIフィルターの交換、測定を行いましたがいずれも同じTDSメーター値は4ppmでしたがそれぞれ4.2Bq/k、5.0Bq/kg(Cs-134+Cs-137)の福島第一原発事故由来のセシウムが検出されました。

TDSメーター値が低いと言う事は中身のイオン交換樹脂にそれだけ不純物が含まれてないと言う事ですがセシウムの数値はそれに必ずしも比例しないようです。
水源や使う水量などの違いの他、塩素濃度などの違いにもよるのかもしれません。

前回、測定した足立区の水道水のセシウムは交換時にTDSメーターで2ppmであったにも関わらず5.7Bq/kg(Cs-134+Cs-137)でした。

埼玉県八潮市のDIフィルター交換時1ppmの測定中です。


同じ水源でも個々の場所によりかなりバラツキがあるように思います。
やはり、測定して数値で見るより方法はないのかもしれません。
食品などの検査もお気軽にご相談下さい。

放射能測定検査
| 14:03 | 未分類

mFKRのユーザーで『ZIP友の会』メンバーのU様から市販の食材の測定データを頂きましたのでアップさせて頂きます。

U様の手元にmFKRが届きましたのは今年1月でまだそれ程、多くの検体を測定はされてませんが福島第一原子力発電所事故由来のセシウムが早くも5検体から出てきました。


最大値は埼玉県産の原木椎茸、39Bq/kgでした。

27.3.13 越谷原木椎茸 11h

干し柿も11.9Bq/kg検出されています。

27.2.7 干し柿 10h

レンコンも6.4Bq/kg検出されました。

27.2.25 レンコン 10h


静岡茶も4Bq/kg検出されました。

画像


豆腐はCs-134は検出されませんでしたがCs-137のピークがあります。
参考値1.3Bq/kg

27.2.8 豆腐 10h


*注)BGや設置状況により検出下限値は異なります。U様のmFKRは5cm厚の鉛ブロックで更に囲む事により遮蔽を強化されています。


いずれも国の基準値内ですが椎茸以外はすべてスクリーニングレベルの測定では分析が不可能なレベルの汚染です。
まだ、それ程多くの検体を測定した訳ではありませんが、これだけの検体からセシウムが検出された事に驚いておられました。
一般的に売られている食材の検査不足を改めて痛感しました。

放射能測定にこれから挑戦される方や、測定を依頼する方向けに単純にわかりやすく、記事を書きましたのでよろしかったらご欄頂ければ幸いです。

放射能測定について

mFKRは好評発売中です!
今月は第三号機納品予定です。
mFKRはギリギリまで価格を下げておりますが今月ご予約頂いた方には特典をご用意しております。


詳しくはお気軽にお問い合わせ下さい。

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☎03-5629-6977
| 14:30 | 未分類

RO浄水器機+DIフィルターの設置を頂いております足立区のO様が約1年程ご使用のDIフィルターの測定を行いました。
交換時のTDSメーター値は2ppmでした。


セシウム総量で5.7Bq/kg検出です。

DI-Adachi316-16h

Cs-137/4.9Bq/kg
Cs-134/0.8Bq/kg


こちらもCs-137及びCs-134が検出された事により福島第一原子力発電所事故由来の汚染と推定出来ます。
首都圏のほとんどの水道水から福島第一原子力発電所事故由来のセシウムが検出されています。

各地の水道水中のセシウム値


今回、TDSメーター値で2ppm時に交換でしたのでそれ程高い数値は出ないと思い16時間の測定を行いました。
以前、測定した横浜の水道水は定量下限値未満(1Bq/kg)だったからです。
水源が違うなど条件が異なりますので単純に比較は出来ませんが予想外でした。

現在、つい先日交換したここ葛飾区で交換時4ppmのDIフィルターの測定を行っております。

この近所で4ppm時に2件、交換して測定した前例は4.2Bq/kg、5Bq/kgでしたので同程度の汚染があるものと推測しています。

いずれにしても首都圏はDIフィルターのオプションは必須だと思います。
300倍危険性があると言われるストロンチウムなども測定されておらず、現在飲み物に関する基準がない事を考えますとRO(逆浸透)方式の浄水器だけでは不十分と考えます。
オプション設定開始以前にお取付頂いた方もフィルター交換時に是非、ご検討下さい。



0PPM-RO浄水システム

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| 10:38 | 未分類

0PPM-RO浄水システムを設置を頂いております茨城県水戸市のA様がご使用のDIフィルター(イオン交換樹脂フィルター)の測定を行いました。

セシウム総量で7.4Bq/kgでした。

DImito314-4h

iFKR-ZIPで4時間の測定でCs-137/662Kev、Cs-134/604,796Kev いわゆるセシウム3兄弟のピークがハッキリ出てきましたので間違いなく福島第一原子力発電所事故由来のセシウムです。

RO(逆浸透)方式は下の図のように不純物濃度の高い溶液に浸透圧を加えて、半透膜を通して水分子だけを押し出し汚れた水は排水するシステムですがその除去率は99%です。残りの1%の除去しきれない物質を吸着させるのがDIフィルターの役目です。
ROsikumi.jpg

セシウム比で原子炉内に1:1の割合で含まれているストロンチウムはほとんど測定されてませんので注意が必要です。
その毒性はセシウムの300倍だと言われています。
ストロンチウムは水溶性で現在、飲食物に関する基準はありません。

浄水器で唯一放射性物質が除去出来るRO(逆浸透)方式でも完全ではありません。
特に子ども達が飲む幼稚園、保育園、学校などの水道水に万が一、ストロンチウムが入っていたら取り返しがつきません。
首都圏などの公共の水道水にはRO(逆浸透)浄水器+DIフィルター(オプション)は必須だと思います。

ストロンチウムを真剣に考慮して欲しい

出来る限り不確定要素を取り除く事が重要だと考えます。
| 18:06 | 未分類

前回は実際に放射能測定を開始する前の準備、エネルギーキャリブレーション(校正)からBG(バックグランド)データを取得、そして性能確認用試料5Bq/kgの測定と順をおって説明致しました。

過去の記事は放射能測定について(1)放射能測定について(2)をご参照下さい。

前回の記事でも書きましたが放射能測定はさまざまな不確定要素があり、その汚染が微量になればなる程に定量の難易度は上がります。
あくまでもこちらでの測定環境と言う前提ですが、3Bq/kg程度までなら温度、湿度、天候等にそれほど左右されずに測定が出来ます。
しかし、それは測定器が正しく校正されていると言う大前提があります。
メーカー出荷時にはCs-137とK-40の2点校正が行われています。
Cs-137のピークは662Kev(キロエレクトロンボルト)、K-40は1460Kev(キロエレクトロンボルト)とその差は常に798Kevになっていて初めて正しい測定値が得られます。
詳しくはCs-137とK-40の2点校正を参照下さい。

測定器を導入して設置場所が変われば、K-40のエネルギーキャリブレーションを行う必要があります。
そしてその設置場所でBGを取得して初めて測定が出来る環境が整います。

先にも書きましたが放射能測定をおこなう上で、さまざまな不確定要素があります。
検体はいつも同じものを測定する訳ではありませんので測定する検体によっても条件が違ってきます。
例えば、お米などはそのままの状態で検体袋に規定の量を入れ測定すればよいのですが、野菜などは細かく粉砕し出来るだけ一定の条件で測定する事も大切な要素です。
誤検出の主な原因の一つにK-40(カリウム)によるコンプトン散乱の影響があります。
このカリウム40は自然界に多く存在します。お米や野菜などにも濃度の差こそあれほとんどの検体に含まれます。
詳しいアルゴリズムは省きますが簡単に説明するとバックグランドから検体の面積を計算し、数値を算出しています。
まずは下のスペクトルをご欄下さい。
こちらは白米と玄米をまぜた約16Bq/kg程度の試料のスペクトルです。
K-40の1460Kevに注目して下さい。茶色が予め取得したBGで、赤色が検体です。
一番下の緑色がBGから検体を差し引いたものです。
この差がほとんどない事がおわかり頂けると思います。
余談ですがK-40は約9割がβ線、残りの1割程度しかγ線を出さない為に、2時間の測定ではCs-137に比べピークの高さが低い事もわかります。

16bq
*画像はクリックすると拡大します。

簡単に説明しますとCs-137の値は下の緑に塗りつぶしてある面積を計算します。
茶色のBGと赤色の検体の間にある面積(黒い部分)をわかりやすくする為に、塗りつぶしてみたのが下の画像です。

16bq-2
*画像はクリックすると拡大します。

この選ばれている領域がずれると真の値に近い値は出ません。
放射能測定の難しいところは測定器が示した数値が正しいかどうか、スペクトルを見て判断しなければならない事です。
その為にも頻繁に性能確認用セシウム(Cs-137、Cs-134)標準試料
でチェックする事は大変重要です。


それではこのK40が高い検体の場合はどうでしょうか。
下の画像はK-40を約100Bq/kg程度、人為的に添加したBGデータです。
K-40の1460Kev近辺のピークがよりハッキリ見えます。

画像
*画像はクリックすると拡大します。

そして下の画像は同じくK-40が約1,000Bq/kgあるBGのデータです。
更に1460Kev近辺の山が更に高くなっている事がわかると思います。

画像
*画像はクリックすると拡大します。

そして更に下の画像に注目して欲しいのですが、こちらはぬかの測定を20時間おこなったスペクトルです。

K40-200bq
*画像はクリックすると拡大します。

茶色のBGに比べ、赤色の検体が全体的に持ち上がっている事がわかると思います。
K-40が約200Bq/kgとBGに対して高いので全体的に持ち上がっている事により、セシウムを計算する面積も多くなり、数値が押し上げられてしまい5.7Bq/kgの表記になっています。
Cs-137の662Kev辺りに注目して頂くとわかりますが際立ったピークはなく、全体的にギザギザになっています。
このような場合は誤検出を疑う必要があります。

回避する方法は下記に詳しく書いてありますのでご欄下さい。

K40のコンプトン散乱による誤検出の回避

上記の場合はセシウムはほぼ含まれていない、もしくは含まれていたとしても極微量であると判断出来ます。
もう一例紹介させて頂きますと、灰の測定例ですがK40が約2,000Bq/kgあり、しかもセシウムも含まれている例です。

K-40によるコンプトン散乱の影響(K-40/2,000Bq/kg)

このようにK-40が高い濃度で含まれている場合はコンプトン散乱の影響も考慮して、スペクトルを見て分析する必要があります。
しかし厄介な事に検体によりK-40の値はさまざまです。
正しい測定値を検証する為に、K-40の濃度が違う複数のBGをクロスチェック用に用意しています。

更に厄介な事に誤検出の要因はコンプトン散乱だけではありません。
元々、自然界に存在するさまざまな核種が正しい測定値の邪魔をする事が多々あります。
下記は一例ですがBi214などの核種もたびたび誤検出の要因になります。

正しい測定をおこなう為にはスペクトルを見て分析する事が重要です。


放射能測定について(1)でも書きましたが、測定目的別に測定器を選ぶ必要があります。

NaI(Tl)とGe(Li)の例で説明させて頂きましたが、その他の種類のLaBr、CeBr、SrI2などの検出器でも、もちろんCsI(Tl)もそうですが検出器単体のスペック(分解能など)でその測定器の性能が決まる訳ではありません。
心臓部分であるMCAなどさまざまな部品、ノイズ対策など総合的に性能を判断する必要があります。
ほとんどのメーカー公表の測定下限値は実測値ではなく、日本アイソトープ協会のCs-137標準線源を使用しています。
先に説明させて頂いたK-40は考慮に入れておらず、バックグランドが殆どない状態で検出下限値を計算しています。
この方式で計算すれば、ZIPも簡単に見積もっても、短時間で0.3Bq/kgの検出下限になりますが、実際の測定は机上の計算どうりにはいかない事を理解して下さい。


それぞれの測定器で適正な測定時間の検証を行う事が大切です。

数値の信憑性を確認するにはスペクトルを見なければ専門家でも判断出来ません。
言い換えればスペクトル表がないデータの数値はいかようにも改竄が出来ます。
3回に別けて記事にしましたが、測定者だけではなく、測定を依頼する方もスペクトルの基本的な見方を覚えて頂く事が、世の中に正しい測定を普及させていく事に少しでもお役に立てれば幸いです。


事故直後から測定を開始し、まだまだ勉強中の身ですが、放射能測定に関してもエキスパートの方々に教えて頂ける特別な環境をこれからも生かせていければと思います。

これから放射能測定に挑戦してみたいと言う方も是非お気軽にお問い合わせ下さい。

最後までお読み頂きありがとうございます。

iFKR-ZIP-Proにつきまして

iFKR-ZIP-Proの最大の特徴は、測定に必要な検体量がわずか100gと少ない事ですが測定下限値が0.5Bq/kgである事も特筆すべきです。
これから必要とされる大気中の粉塵用のハイボリューム・エアサンプラなどの
エアフィルタやイオン交換樹脂、など試料を効率よく測定出来る仕様になっております。


現在、ご予約を頂いた方には水分の測定が0.1Bq/kgまで測定が可能な特殊なフィルターセットを8枚サービスさせて頂いております。
また、今月中にご予約頂いた方限定で総額から10万円の値引きをさせて頂きます。

測定下限値0.1Bq/kgは各地の衛生研究所などごく一部の機関しか測定出来ないレベルです。

この機会に是非、ご検討をお願い致します。

mFKRiFKR-ZIP-Aもお問い合わせは下さい。

お電話でのお問い合わせもお気軽に

☎03-5629-6977
| 10:15 | 未分類

前回は放射能測定が簡単ではない事、測定目的に別けての測定器の選び方などについて書きましたが今回はiFKR-ZIP-Aを使用して基本的な操作方法を順をおって説明したいと思います。

前回の記事は放射能測定について(1)をご参照下さい。
また、基本的な操作はmFKRiFKR-ZIP-Proも同じです。
*iFKR-ZIP-Proは従来の測定方法の他にコインシデンスモードがあります。

1)測定に必要なもの
*測定前にご用意頂くものはこちらご欄下さい。機種によりご用意頂くものが一部異なります。

2)基本操作説明
*こちらの動画を観て基本的な操作を覚えて下さい。
StartGuide、MCAソフトウエア操作ガイド、ROI設定とReCalicの3つの動画に別れています。

3)測定を開始される前に
*こちらではパソコンの初期設定手順、エネルギーキャリブレーションを付属の炭酸カリウムで行います。
キャリブレーション(校正)は正しい測定の為には不可欠です。
また、BGなどの環境にもよりますが比較的、頻繁に確認を行う必要があります。
それを判断する為にも性能確認用の5Bq/kgの試料の定期的な測定が必要です。
ただし、5Bq/kg程度の微量の試料ですと毎回同じ値になるとは限りません。
何度か測定した平均値を目安にして大きくずれてないかの確認をします。
例えば±5%程度が誤差の範囲と決めたら、それ以上にずれていた場合にエネルギーキャリブレーションを行う目安にすれば良いと思います。

4)放射能測定はさまざまな不確定要素がある為に特にごく微量のセシウムの定量時には、出来るだけその不確定要素を排除する事が大切です。
温度、湿度などは出来るだけ一定に保ち、検査室なども定期的に掃除します。特に高濃度汚染がある検体を測定した後などは念入りに掃除して下さい。
また、データ取得時に、温度や湿度などと共に天候なども書いておくと後にデータを比較する時に役に立ちます。

ここで設置してからの手順をまとめます。

1.炭酸カリウムでエネルギーキャリブレーションを行う。

K40Caiib306-1h
*K40のピークが1460Kev付近にくるようにゲイン調整を1時間行います。

2.バックグラウンド(=BG)を10時間以上の測定を行い取得する。

K40BG-20h
*20時間のBGのデータです。

3.性能確認用試料の測定を行います。
性能確認用セシウム(Cs-137、Cs-134)標準試料


メーカーが作成した操作説明書も付属しておりますので、それを見ながら基本操作説明
も参考にすれば、一連の操作を覚えて頂けると思います。

測定に関しての情報交換をユーザー様同士でメーリングリスト形式で行っております。
測定の疑問などを実際のスペクトル例などで皆で検証する事が出来ます。
ユーザー様でご希望の方は誰でも参加出来ます。
『ZIP友の会』としまして市民測定所、企業の方はもちろん個人のお客様も多くいらっしゃいます。
私事ですが原発事故前は放射能測定を行う事などまったく考えていませんでした。
事故後に測定を少しずつ覚えましたが、『ZIP友の会』の情報交換コミュニティは大変重要である事を実感しています。
放射能測定は先にも書きましたが不確定要素が多く、地域によるBGの違いなどもあり、簡単ではありませんがメンバー全員で情報を共有し、疑問点を解消していく事が測定のレベルアップにも繋がると思います。
私もまだまだ勉強中の身ですが、測定に興味がある方はiFKR-ZIP-Aの実機がありますのでお気軽に見にいらして下さい。
実機でスペクトルなどを見ながら基本操作を覚えて頂くのが測定を覚える一番の早道だと思います。
実際に何度もこちらに来て頂いた方は今年から測定を開始されましたが既に数ベクレルの定量をされています。
このレベルの定量は事故前は熟練した研究者が重量が1t以上もある鉛の遮蔽体でGe(Li)検出器を用いなければ出来なかった事を考えますと挑戦し甲斐があります。
『ZIP友の会』の全員が測定下限値1Bq/kgまで正確に定量が出来るようになる事が一つの目標でもあります。
正しい測定値の公表は現状を正しく理解する上で大変重要な事だと考えます。

ZIPシリーズの検出下限について

今回は基本的な操作を覚えて頂く事を主眼に書いてみましたが、次回は誤検出の主な原因になる、K40によるコンプトン散乱の影響、Bi214などの自然核種による影響など実際の例をあげてその対処法も含め説明したいと思います。
測定者だけではなく、測定を依頼する方も知識を深める事が出来れば幸いです。

| 09:56 | 未分類

『放射能測定について』これから放射能測定に挑戦される方や、測定を依頼する企業、個人の方向けに出来るだけ単純にわかりやすく、数回の記事に別けて書いていきたいと思います。

第1回目

簡易的なガイガーカウンターなどの測定器をお持ちの方は大勢いますが、食品の放射能を初めて測定される方も少しずつですが、増えてきています。
福島第一原子力発電所の事故により大量に拡散中のセシウムはγ線を放出しますので比較的、測定が容易です。


国や行政などが公表している、μSv/h(マイクロシーベルト/時間)の単位などは目にされて、知っている方も多いと思いますが、食品などの測定の単位は通常、ベクレル、Bq/kg(ベクレル/キログラム)と言う単位を使います。

定義では1秒間に1個の原子核が崩壊したとき、それを1ベクレルといいます。
基本的にこれからご紹介する、γ線を放出する放射性核種の分析する為の放射能測定器はベクレルという単位で測定を行います。
原発事故由来のさまざまな放射性物質が大気中や海などに放出されましたが、γ線を放出する放射性核種で、放出量が多く比較的測定が容易なセシウム(Cs-134、Cs-137)を主眼において説明を致します。

ここでは詳しい説明は省きますが放射能の測定は、体重を測定するようにただ、出てきた数値を読めばよいわけではありません。
例えば、セシウム総量10Bq/kgの定量は簡単ではありません。
10Bq/kgと言うと数値的に大きく感じてしまうかもしれませんが、このレベルの定量は放射能測定器があっても誰でも簡単に出来るレベルの濃度ではありません。
セシウム10Bq/kgの定量は福島第一原子力発電所事故以前から測定を行っていた熟練した研究者レベルの方でもNal(Tl)測定器では無理と言う事は常識で、Ge(Li)ゲルマ二ウム半導体検出器を用いなければ出来ないレベルの測定である事をまずは理解して下さい。

また、放射能測定はさまざまな不確定要素があり、それなりにスキルが必要である事も理解して頂ければと存じます。
放射能測定器にはその目的によりいろいろなタイプの測定器があります。
ここではその代表的な種類を測定目的別に簡単に説明致します。

(1)セシウム25Bq/kg程度までのスクリーングに最適なのはNaI(Tl)ヨウ化ナトリウム検出器を用いた測定器です。
国が定める『食品中の放射性セシウム スクリーニグ法』の適合機種は主に測定下限値はセシウムで25Bq/kg程度までの測定が短時間で可能な機種です。*アイソトープ協会の認定機種ならほぼこの基準をクリアーしています。

(2)Ge(Li)ゲルマ二ウム半導体検出器を用いた測定器:10Bq/kg以下のごく微量のセシウムを測定する際に用いられる測定器です。
*NaI(Tl)に比べ感度は悪いが分解能が高いので、長時間(基本50,000秒~)測定する事で微量のセシウムを定量可能な機種です。NaI(Tl)でスクリーングをした検体を更に厳密に測定する際にはかかせません。

更に詳しい説明は放射能測定器の種類と選び方をご参照下さい。

弊社が販売する放射能測定器は上のどちらでもない、CsI(Tl)ヨウ化セシウム検出器を採用し、放射能測定におきましてもプロ中のプロの技術者が開発した新世代の測定器です。
他メーカーとの大きな違いはメーカー公表の測定下限値は性能確認用試料で実際に確認した実測値である点です。

詳しくは信頼出来る線源の重要性をご参照下さい。
メーカーにつきまして(株)シンメトリックスのホームページをご欄下さい。

iFKR-ZIP-A 測定下限値1Bq/kg

mFKR測定下限値 3Bq/kg

*測定下限値はCs-134、Cs-137の合計値でそれぞれのページの実測データで確認して頂けます。
理論上の測定下限値を明記しているメーカーがほとんどですが実測データが大変重要だと考えます。


今回は放射能測定について簡単に説明させて頂きましたが次回は実際の操作方法など測定に関しての情報を少しずつ解説したいと思います。
| 21:23 | 未分類

誤検出になりやすい測定例を参考までに説明させて頂きます。
今回の試料は『肥料』です。

土壌などの場合は高濃度に汚染されている事も多いので、検体が届きましたら簡易的にGM管測定器(LND7317)で測定を行います。

LN7317

約3分の測定で130cpm、0.37μSv/hです。
*LND7317はγ線とβ線を測定しています。

空間のバックグランドから考えても5倍程度の高い数値を示しました。
高いβ線がある事は間違いありませんがそれがセシウムなのか他の核種であるのかは現時点ではわかりません。
そこでiFKR-ZIP-Aで10時間の測定を行いました。

Hiryo302-10h

Cs-Allで91.2Bq/kgの値を示しました。
しかしセシウムのピークは明らかにずれている事、茶色のバックグランドから赤色の検体も全体的に持ち上がっているのもわかると思います。
K-40は1,000Bq/kg程度あるので、コンプトン散乱による数値を補正する為にK40が約800Bq/kg程度ある無汚染のBGと比較してみたのが下のスペクトルです。

Hiryo303-K40-800bqbg

まだ茶色のバックグランドに対して赤色の検体が全体的に持ち上がっていますので今度はK40が約1,000Bq/kg程度ある無汚染のBGと更に比較を行いましたのが下のスペクトルです。

Hiryo303K40Bg1kbq

今度はK40の部分はほとんど重なって見えます。
数値もCs-Allで約半分近い値になりましたのでK40のコンプトン散乱による数値のかさ上げは倍になっていた事がわかります。
更に細かくデータを見る為に検体のみスペクトルを下記に示します。

Hiryo303

エネルギーが低いほうから見ますとPb214の242、295、352Kev辺りとBi214の609、1120、1764Kev近辺にもピークが確認出来ますので自然由来の典型的はウラン系列である事がわかります。
Bi214の609Kevあたりにピークがあり、そのピークの肩の部分に位置するCs-137の662Kevあたりにもピークはまったく見えない事からセシウムはほぼ含まれてない、もしくは含まれていたとしても極微量であると判断出来ます。


測定器が示した数値を鵜呑みにしてそれをそのまま公表する事は誤った数値を公表する事にもなりかねませんので注意が必要です。
K40によるコンプトン散乱の影響や今回のケースのように Bi214など他の核種による影響なども考慮に入れスペクトルを見て分析する事が大切です。
スペクトルを見てROI領域がずれている場合の補正なども参考にして頂ければと存じます。

LND7317で測定した今回のβ線はセシウムやストロンチウムなど由来ではなく、K40のβ線が主である事も推測出来ます。
| 15:04 | 未分類

カナダ産の建材の端材+山梨県産笛吹市の桃・ぶどうの間伐材の灰の測定を
16時間(C検査)行いました。
ご参考までに弊社の測定例をご紹介致します。
下の画像は測定結果をそのままの何も操作せず示したものです。


Hai225y16h
Cs-All/100.3Bq/kg
Cs-134/57.2Bq/kg
Cs-137/43.1Bq/kg
BG(茶)、検体(赤)ログ表示。
*画像をクリックすると拡大します。

茶色がバックグランド、赤色が検体です。
スペクトルを見ますと茶色に対して赤が低いほうから高いほうまで全体的に持ち上がっているのがおわかり頂けると思います。
Cs-137/662Kev(2Kchで測定していますが表示は1Kchなので赤い棒(330あたり))にピークがありますのでCs-137の存在は確認出来ます。
しかし、このようなスペクトルの場合はK40によるコンプトン散乱でどの程度、数値が押上げられているかわかりません。
茶色のバックグランドに対して赤色の検体がエネルギーが低いほうから高いほうまでほとんど離れてしまった状態では真の値から大きくかけ離れている事が多々あります。

そこでROIの再設定を行いReCalicを行ったのが下の画像です。

Hai225Y-16h-Rec
Cs-All/37.3Bq/kg
Cs-134/6.7Bq/kg
Cs-137/30.7Bq/kg
BG(茶)、検体(赤)ログ表示。
*画像をクリックすると拡大します。


K-40のコンプトン散乱による影響をより詳しく知る為に0ppmの純水に炭酸カリウムを適量まぜてK40の値が近い試料で20時間のバックグランドを取得し、それと比較したのが下記の画像です。

画像
Cs-All/40.7Bq/kg
Cs-134/6.4Bq/kg
Cs-137/34.3Bq/kg
BG(茶)、検体(赤)すべてリニア表示。
*画像をクリックすると拡大します。

このスペクトルを見て頂くとわかりますが茶色のBGに対して赤色の検体のがまだ少し全体的に持ち上がっています。
先程よりはROIの領域を選びやすくなりましたが更に検体にBGを近ずける為に微量の炭酸カリウムを追加でまぜ再度、20時間のバックグランドを取得し直したデータが下の画像です。

HaiY16hK40BG20Kbq
Cs-All/46.7Bq/kg
Cs-134/11.1Bq/kg
Cs-137/35.6Bq/kg
BG(茶)、検体(赤)すべてリニア表示。
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Cs-134とCs-137の比率も現状と近くなりましたのでより真の値に近くなったと判断出来ます。

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