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信頼出来る線源の重要性

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日々測定を行っていて特に微量の汚染(数ベクレル)の場合、その判断に悩まされる事があります。
そんな時は信頼出来る線源で検証するしかありません。

日本の国家一次標準機関の産総研(独立行政法人産業技術総合研究所)は、放射性セシウムを含む玄米の認証標準物質NMIJ CRM7541-aを開発しました。
いくつかの代理店で販売を行っています。
この線源は福島第一原子力発電所の事故に由来する、放射性セシウム
(Cs-137、Cs-134)を含む玄米を均質化して、評価したものです。
多くの検体にK40も含まれているのでCs-137単一線源での検証よりベターです。
国内で最も信頼出来る線源だと思います。

独立行政法人産業技術総合研究所のホームページに詳細がございますので是非、ご参照下さい。
実際、産総研はその線源を使用し、国内にある100カ所以上ある測定所の数値を検証するなど有意義な活動を行っております。

NMIJ CRM 7541-a玄米(放射性セシウム分析用)は2012年8月1日9:00JST時点でセシウム総量約85Bq/kgの濃度(Cs-134/33.6Bq/kg 拡散不確かさ2.6Bq/kg、Cs-137/51.8Bq/kg 拡散不確かさ4.6Bq/kg、Cs-134+Cs-137/85.4Bq/kg 拡散不確かさ5.3Bq/kg)
ですが、その同じものを各社のシンチレーション検出器(ほとんどがNaI(Tl)ですべてアイソトープ協会認定機種、下限値25Bq/kg程度)で検証。

2014年9月3日に産総研のセミナーに参加しデータを頂きましたが無断転載禁止なので数値等詳しい事は書けませんが個人的にはセシウム総量約85Bq/kg濃度の線源ではバラツキが多過ぎると感じました。

微量放射能測定の可能性についてでも述べておりますがNaI(Tl)などを使用している測定所はセシウムの定量下限値はおおむね20Bq/kg程度でスクリーニングレベルです。

現在の国の基準値は一般食品でセシウム合計で100Bq/kgです。
NaIシンチレーション検出器の定量下限値はおおよそ20Bq/kg〜30Bq/kg程度です。
(測定器、測定者のスキルなどにより異なる。遮蔽強化、測定時間を長くとる事で10Bq/kg程度まで下がる。)
NaI(Tl)では国の一般食品の規制値100Bq/kgに対してのスクリーニングには充分です。
しかし飲料水(基準値10Bq/kg)についての検査はFKRシリーズ以外(ゲルマニウム半導体検出器は除く)では困難です。
また、乳児用食品、牛乳などの場合は規制値が50Bq/kgである為にそのバラツキを考えてその規制値の50%が25Bq/kgとNaI(Tl)シンチレーション検出器の定量下限値付近となる事からやはりFKRシリーズでの測定が望ましいと考えられます。
ゲルマニウム半導体測定器は高額で鉛の遮蔽は1tを超え、窒素冷却が必要であり、スキルも要求されるので市民レベルでの測定には不向きです。
NaI(Tl)シンチレーション検出器などによるスクリーニングとFKRシリーズで数ベクレルまでの定量とでははまったく意味が違います。
昔から測定をやられている研究者レベルの方はわかっておりますが事故後に測定を初められた方はほとんどの方が意外に気がついてない部分です。
もっとわかりやすく言えばNaIシンチレーション式の10Bq/kg以下の数値で表記されてたとしてもどんなスキルがある測定者が出した数値でもあくまでも参考値と言う事です。