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イオン交換樹脂セシウム吸着率(4)

イオン交換樹脂を液体の検体に吸着させ、その吸着率の検証を繰り返し行ってきました。

過去の検証は測定情報
液体中に含まれる微量のセシウム測定方法にまとめましたので宜しければご欄下さい。

出来るだけ真の値に近くなるように効率良く吸着させる為にはTDSメーターの活用は大変有効であると言う事がわかりました。
ただ比較的不純物が少ない液体の検体に限られる事で検体が限定されてしまうのも確かです。

FKRシリーズのメーカーの
(株)シンメトリックス社
が2012年10月、東京新聞に『内部被ばくが測定出来る器機』として記事として掲載されました。
東京新聞記事『内部被ばくが測定出来る器機』としましても最も重要で検査依頼の多い尿の検体で吸着率が問題ないかどうか実際に検証してみました。


まずは実際に尿の値をTDSメーターで測定しました。

IMG_1
411ppm

予想外に高い値でしたので、このままでは吸着させるのに時間がかかります。
そこで同量の純水(0ppm)を混ぜて測定したところ105ppmと約4分の1に減少しました。
ものは違いますが、希釈して測定する方法は蛍光X線分析でも良く使われる手法だそうです。
吸着する時間を短縮するメリットがあります。


IMG_2
105ppm


そして2Lの空のペットボトルにイオン交換樹脂を入れ、尿800cc、純水800cc計1,600ccを入れ撹拌する為にボトルを1分間シェイクして1分間放置後、また1分間シェイクを繰り返しそれを8回行いました。
何故、ペットボトルを利用したのかはペットボトルだと使い捨てが出来る為です。
そして比較的入手し易い2Lのボトルにイオン交換樹脂を約300gと合計1,600ccの液体を入れる為に空間が少しかないと撹拌する際にシェイクしずらい事を考え決めました。
同じ動作を7回目繰り返しTDSメーターで測定したら2ppmありました。
8回目でやっと0ppmになりました。
回数を数えた理由は何回で0ppmになるか正確に知りたかったからです。


IMG_3

そして水分を捨てペットボトルをカットして中のイオン交換樹脂を検体袋に160gずつ計320g入れます。
今回はペットボトルに投入したイオン交換樹脂の量を300gにして試してみました。
イオン交換樹脂は水分を吸着して重くなる事と高価なものなので出来るだけコストを抑えたいと言う事がありました。
それでも少し余りましたのでもう少しだけ減らせばより撹拌させる時にシェイクしやすくなるので次回に試してみたいと思います。

IMG_4

IMG_4425
160g×2袋、尿を吸着させたイオン交換樹脂を測定します。

尿自体の検体量は800ccです。検査に使用しているiFKR-ZIP-Aは基本検体量が320gに設定されています。
検出下限値の計算は800÷320=2.5倍、表記された数値を2.5で割り、過去の検証から吸着率95%~99%で計算しますとiFKR-ZIP-A320gで1Bq/kgなので1÷2.5×1.05=0.42、また1÷2.5×1.01=0.404ですので、測定下限値はおおむね0.4Bq/kg程度となります。

前回の尿の精密検査で0.23Bq/kg検出されましたが検体量は1.5Lと多い事と撹拌回数などが適当で吸収率などはわかっていなかった事(TDSメーターでppm値は測定してません。)から検出されるかどうか微妙なところです。
注目のデータです。

まずは下のスペクトルをご欄下さい。
BG(バックグランド)はイオン交換樹脂無汚染のものを使用しています。
表記Cs-All 1.5Bq/kgですが茶色のBGに対して赤の検体が全体的に持上がっているので数値が過剰になっている
可能性がありますのでそれを検証する必要があります。
良い機会ですのでセシウムを定量する上でスペクトルの見方を簡単に順をおって説明致します。

*画像はすべてクリックすると拡大します。


2015107-1
まずは右から見てみますと1460Kevのピークはずれてない事がわかります。
測定は2Kchで行っていますがデータは1Kchの半分ですので下の右側の数値は730になっているのがわかると思います。
つまり赤い縦棒を730に合わせてピークがあっているか確認します。

2015107-2
Cs-134の796Kevに赤い縦棒を合わせた状態でピークがずれているのがわかると思います。
*印の下の数値は半分の398になっているのがわかると思います。


2015107-3
次にCs-137の662Kev近辺を見ましたがやはりピークがなく左側の低い部分にピークがずれています。
*印の下の数値は約半分の330になっているのがわかると思います。


2015107-4
今度はCs-134の604Kev近辺を見ましたがやはりそれらしきピークはありません。
*印の下の数値は約半分の302になっているのがわかると思います。

2015107-5
そしてスペクトル全体を見てみますと茶色のBGに対して赤の検体がエネルギーが低いほうから高いほうまで全体的に持上がっている事がわかると思います。
このような場合は*印のRe Calicを押し違う計算方法で数値を確認してみます。
K-40以外はすべてマイナス表示になったのが確認出来ます。


そして最近、遮蔽を強化したのでそれ以前に取得していたK-40が約30Bq/kg含まれるBGと比較検討したのが下のスペクトルです。

MSDI107-16h

K-40の1460Kev近辺では茶色のBGより赤の検体のが少し高くなっていますが、低いほうへいくにしたがって赤の検体より茶色のBGのが逆に高くなっている事がわかると思います。
遮蔽を強化する前に取得したBGですので、一例で判断は出来ませんがもしかしたら遮蔽効果があったのかもしれません。
それはさておきこれでは正確な評価が出来ませんのでK-40を含む無汚染のBGを再度取得してデータを見る必要があります。
極微量汚染の定量は簡単ではありません。今回はK-40によるコンプトン散乱の影響がある可能性を消す為に再度、BGを取得して比較検討しましたが縦方向のズレだけではなく横方向のズレ(ドリフト)にも注意が必要です。
FKRシリーズは温度ドリフトもほとんど気にしなくてよいレベルですが、やはり急激な温度変化などにより極微量の検体を測定する際には注意すべきだと思います。
過去の記事をご参照下さい。ドリフト例
ドリフトが起きたと判断出来る為にはCs-137とK-40の2点校正大変重要です。
多くのユーザー様が実際にベクレル値がわかったセシウムの試料で検証してくださっていますが数値がおかしいと思った場合はCs-137とK-40のピークを確認してそのエネルギーの差がずれてないか確認してみて下さい。
Cs-137とK-40のエネルギーの差がずれているとそもそもドリフトしているのか
どうかの判断が出来ませんので注意が必要です。


前置きが長くなりましたが、新しくK40を含むBGデータを20時間かけて取得しそれと比較してみました。

MSDI108-16h


先程のようにK40から見ていきますとピークは1460Kev近辺にありますが、Cs-134の796Kev、Cs-137の662Kev近辺にもピークはありません。
従って表記数値で1Bq/kg未満と判断しました。
先程説明させて頂きましたが2.5倍に濃縮されている計算ですのでおおむ0.4Bq/kg定量下限値未満です。


イオン交換樹脂を液体の検体に吸着させ、それを測定する方法は濃縮したのと同じ効果があり更に手軽に測定出来るメリットがあります。そして今迄、不可能だったより微量の汚染が数値で確認出来る事が最大のメリットです。
この方法はFKRシリーズに限らず、多くの市民測定所が使用している放射能測定器でも活用する事が出来ます。
検体量を増やす事により0.00XBq/kg単位の今迄、衛生研究所などごく一部の機関しか測定が出来なかった数値をそれぞれの測定器でスペクトルで検出と確認出来るので、行政発表の数値と比較検討出来る意味でも大変重要だと思います。
大切なのはTDSメーターを活用して0ppmになった事を確認する事です。

最近、一部のGe使用の測定所で希望があればスペクトル表を添付するところも出てきましたので大変良い事だと思います。
スペクトルの添付がないデータは専門家が見てもその信憑性を判断出来ないので大切なデータですので必ずスペクトル表を添付するようにして欲しいと切に願います。

放射能測定器につきましてご質問がある方はメーカーである
(株)シンメトリックス社
までご案内致しますのでお気軽にご相談下さい。


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☎03-5629-6977

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